「新NISAのつみたて投資枠はやめたほうがいいっていわれるけど本当?」
「向き不向きってあるのかな。わたしには向いているのかな?」
「新NISAのつみたて投資枠のリスクをしっかり把握した上で始めたい」
新NISAのつみたて投資枠が、よく話題にあがります。やめたほうがいいという声も聞かれるし、今後どうしたらいいのだろうとお悩みではありませんか。
そこで本記事では、金融機関で18年の勤務経験をもつ筆者が、以下の内容を徹底解説します。
- 新NISAのつみたて投資枠とは
- 新NISAのつみたて投資枠はやめたほうがいいと言われる3つの理由
- 新NISAのつみたて投資枠が向いていない人の特徴とは
- やめたほうがいいばかりじゃない!新NISAのつみたて投資枠をやる3つの利点
- 新NISAのつみたて投資枠で成功するためのポイント
- 新NISAのつみたて投資枠をやるときの注意点
- 新NISAのつみたて投資枠を始めるならSBI証券がおすすめ
ぜひこの記事を参考に、新NISAのつみたて投資枠を理解して、自分に向いているのかを見極めましょう。
新NISAのつみたて投資枠とは

新NISAは、投資を行う人を対象とした税制優遇制度で、正式には「少額投資非課税制度」と呼ばれます。新NISA口座で投資した金融商品から得られる利益が、非課税になる制度です。
以下のポイントにしたがって、詳しく見ていきましょう。
- つみたて投資枠と成長投資枠の違い
- 効率よくお金を増やすなら新NISAのつみたて投資枠は使うべき
つみたて投資枠と成長投資枠の違い
新NISAには、つみたて投資枠と成長投資枠があります。以下違いを見ていきます。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
非課税枠 | 年間120万円まで | 年間240万円まで |
非課税保有限度額 | つみたて投資枠と成長投資枠の合計で1,800万円 | 成長投資枠で利用できるのは1,800万円のうち1,200万円まで |
投資対象 | ・投資信託 ・ETF | ・上場株式 ・投資信託 ・ETF ・REIT 等 |
非課税期間 | 無制限 | 無制限 |
特徴や、向いているタイプなど | ・投資信託 ・ETFでの運用のみ ・将来を見据えてじっくり投資したい | ・投資先や投資タイミングを自分で決めたい ・個別株を買いたい ・株主優待が欲しい |
いつでも売却でき、売却したときの利益が非課税なのは両方に共通しています。
効率よくお金を増やすなら新NISAのつみたて投資枠は使うべき
通常の投資は得られた利益に対して、20.315%の税金がかかります。
しかし、新NISAのつみたて投資枠を活用すれば、利益には税金がかかりません。そのため、より効率的に資産を増やせるのです。
さらに、年間120万円までの積み立てが可能となっています。新NISAのつみたて投資枠は、余裕資金の運用や毎月一定額を積み立てて、効率よく資産を増やしたい人に向いている制度です。
このように、投資で得た利益が非課税になるため、つみたて投資枠は積極的に利用すべきでしょう。
新NISAのつみたて投資枠はやめたほうがいいといわれる3つの理由

新NISAのつみたて投資枠は利益に対して課税されない利点のある制度ですが、安易な気持ちで手をだすのをやめたほうがいいといわれる理由は、以下の3つです。
- 損をするかもしれないから
- 投資先が限られているから
- 損益通算ができないから
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 損をするかもしれないから
投資信託に投資をするので元本保証ではありません。元本が割れることもあり得ます。
元本割れとは、社会情勢や国際情勢などの影響を受けて相場が下落した場合などに、当初の投資金額を下回ることを意味します。
投資信託は長期間保有することで元本割れのリスクを低くできるといわれています。

しかし、リーマンショックやコロナショックのような世界的な大不況が起こった際は、元本割れのリスクが高まるのです。
つみたて投資枠の対象商品は、分散投資で安定性の高いものが中心です。一方、投資信託を処分するタイミングや運用期間により、元本を下回る可能性を認識しておく必要があります。
投資する資金は、損失が出ても長期で待てる資金にとどめておく必要があるでしょう。元本が下回っている時期に、解約を考えずに済むからです。
2.投資先が限られているから
新NISAのつみたて投資枠は金融庁が指定する投資信託しか購入できないため、不自由に感じる人もいるでしょう。たしかに個別の株は選択できず、投資先は投資信託に限られていますが、投資対象は豊富です。
つみたて投資枠は、長期的な資産形成を促進するために設立された制度であり、リスクを抑えた投資を重視しています。
一般的に株式市場は変動が激しく、リスクが高いため、初心者にとっては難しい場合があるでしょう。
つみたて投資枠が現物の株式を対象にしていないのは不利なことではなく、安易な気持ちで現物の株式に手が出せない点で、初心者にやさしい制度ともいえるのです。
3.損益通算や繰越控除ができないから
「損益通算」は、複数の口座で生じた利益と損失を合算する仕組みです。「繰越控除」は、損益通算しても損失があるときに最大3年間、その損失を繰越しして翌年の利益から差し引けます。
どちらも、投資の利益にかかる税金の負担を減らす役割といえるものです。
ただ、新NISAのつみたて投資枠は、「損益通算」「繰越控除」のどちらも対象外になります。
(下記表の「つみたてNISA」は、「新NISAつみたて投資枠」と読み替えてください。)
今まで投資をしていない、あるいは新NISAのつみたて投資枠以外での投資を考えていない人は、損益通算や繰越控除を気にする必要はありません。
新NISAのつみたて投資枠をやめたほうがいい人の特徴とは

新NISAのつみたて投資枠は、長期的な資産形成を目指す上で有用な制度ですが、全ての人に適しているわけではありません。
新NISAのつみたて投資枠に不向きな人がいます。特徴については以下の通りです。
- 毎月一定額で買わずに一括で買いたい人や、年間240万円以上の投資を予定している人
- 短期間で大きな成果を上げたい人
それぞれ詳しく見ていきましょう。
毎月一定額で買わずに一括で買いたい人や、年間240万円以上の投資を予定している人
投資が好きな人は自分のタイミングで買いたいと考えるのが一般的です。投資は、安く購入し高値で売却するのが理想です。しかし、うまくいかないのが現状でしょう。
自分のタイミングで売買したい方は「つみたて」よりも「一括」をおすすめします。
ただ、新NISAをやらないという判断は早計です。得られた利益に対して、20.315%の税金がかからないのが新NISAの利点であり、新NISAの成長投資枠を使うのがおすすめの運用方法といえるでしょう。
短期間で大きな成果を上げたい人
短期間で大きな成果を上げるためには多くのお金を一度に投資する必要があり、相場の乱高下を期待する必要もあります。
したがって、以下の理由に該当しない限り、短期間で大きな成果を出そうと考えないほうがよいでしょう。
- 余裕資金を多く保有する人
- 大きなリスクを取れる人
- 相場に詳しい、あるいは相場について勉強する意欲のある人
つみたて投資は長期運用を基本としており、短期間で成果が期待できるものではありません。
短期間で成果を上げたい人は、新NISAのつみたて投資枠は避けるべきでしょう。
やめたほうがいいばかりじゃない!新NISAのつみたて投資枠を使う3つの利点

短期間で成果を上げたい人は、新NISAのつみたて投資枠ではなく成長投資枠を活用すべきです。
しかし、多くの人におすすめなのは新NISAのつみたて投資枠です。
使う利点は、主に3つです。
- ドル・コスト平均法で平均買付単価を抑えられる
- 小コストから始められる
- リスク分散になる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.ドル・コスト平均法で平均買付単価を抑えられる
ドル・コスト平均法の買付価格の比較
毎月、投資商品を同じ金額で購入すれば、価格が高い時には少なく、安い時には多く買い付けできます。
このような積み立て方法は「ドル・コスト平均法」と呼ばれ、毎月一定量(口数)を買うよりも結果的に単価を抑えられる可能性が高まるのが利点です。
新NISAのつみたて投資枠は、ドル・コスト平均法を利用した効率の良い運用方法となっています。
2.小コストから始められる
新NISAのつみたて投資枠は多くの証券会社で1,000円から始められます。毎月1,000円のつみたてなら無理なく始められる人がほとんどでしょう。
1,000円でも、20年続ければ24万円です。年利5%で運用できれば、41万円になります。全世界株式が、年平均6.3%(1988〜2022年のデータで計算)の運用実績から、現実的な数字だといえます。
わずかな金額でもお金が増えることが期待でき、充分始める価値があるでしょう。
3.リスク分散になる
投資は分散投資がおすすめです。一つの投資先に集中投資すると、不測の事態があった場合に資産を大きく減らしてしまうからです。
その点、つみたて投資枠での投資は、購入タイミングを分けて時間の分散を実現しています。
さらに、投資対象である投資信託は、運用対象を分散する役割を担っています。
株式だけでなく債券や不動産に分けて投資を行いつつ、定期的に買い付けを行う新NISAのつみたて投資枠は効果的な投資方法といえるのです。
新NISAのつみたて投資枠で成功するためのポイント

新NISAのつみたて投資枠で失敗するのは避けたいものです。絶対失敗しないために意識すべき重要ポイントは、下記のとおりです。
- 長期目線を持つ
- 平常心を持つ
- ネット証券を活用する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
長期目線を持つ
仮に運用利率4%でつみたてをした場合のした場合のシミュレーションです。
つみたてNISAの資産形成シミュレーション(月1万円つみたて・運用利率4%で計算)
積立期間 | 資産額 | 利益額 |
1年 | 12万2,225円 | 2,225円 |
5年 | 66万2,990円 | 6万2,990円 |
10年 | 147万2,498円 | 27万2,498円 |
15年 | 246万905円 | 66万905円 |
20年 | 366万7,746円 | 126万7,746円 |
表の通り、期間が長ければ長いほど利益が期待できます。今回は4%でシミュレーションしましたが、将来の利回りは予測不能です。
一般的に、債券の利回りは低く、株の利回りは高いといわれます。投資の対象を何にするか、配分をどうするか検討し、利益額の目標を持つことが大切です。
投資対象に興味を持ち、利益額の目標を持つと長期保有が苦にならないでしょう。
平常心を持つ
投資をするとどうしても運用実績が気になりますが、運用成績の変動は避けられないものととらえ、平常心を持つことも必要です。
日経平均株価に毎月1万円ずつ投資した場合のシミュレーションをしてみましょう。
バブル崩壊直前(1989年12月)から毎月つみたてを続け、2019年5月まで353か月、合計353万円をつみたてたら、2019年5月の時点で実に約504万円の評価額です。
参照:三菱UFJ国際投信|継続は力なり!
元金に対し42%以上も評価額が上がっているのは、価格が高い時には少なく、安い時には多く買い付けたドル・コスト平均法の威力といえます。日経平均が低かった時に口数を多く買えたことが要因です。
このようなことが期待でき、相場が下がったときでも慌てず、平常心を持つことが大切なのです。将来に期待し、やめない選択をすることが大切なポイントといえるでしょう。
ネット証券を活用する
新NISAのつみたて投資枠での運用は、ネット証券での活用をおすすめします。店舗の管理費や営業担当者の人件費が不要な分、各種手数料が低く設定されているからです。
情報収集から注文まですべてネットで行え、店舗に行く手間や時間が省けるのも大きな利点といえます。さらに、新NISAのつみたて投資枠で組み入れ可能な商品が多いのも魅力です。
手数料が安い上に種類が豊富なことから、手始めにネット証券会社で口座開設することをおすすめします。
新NISAのつみたて投資枠を使うときの注意点

便利で利点の多い新NISAのつみたて投資枠を正しく活用したいものです。使うときの注意点は以下の2つです。
- 2023年までのつみたてNISAが引き継がれない
- それぞれの投資枠を別の金融機関で利用するこができない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2023年までのつみたてNISAが引き継がれない
2023年までのつみたてNISAは、2024年以降の新NISAのつみたて投資枠には引き継がれません。
新NISAは異なる制度として新たに開始されており、資産の移管ができないのです。
尚、2023年までにつみたてた分は当初の予定通り、購入から20年間非課税です。購入から20年間非課税とは、つみたてた日からではありません。
つみたてた年を1年目として20年目の12月31日までに売却した場合は、利益にかかる税金が非課税です。
それぞれの投資枠を別の金融機関で利用することができない
新NISAは、今回解説した「つみたて投資枠」と、年間240万円まで非課税枠がある「成長投資枠」の2つの制度があります。
2023年までの「つみたてNISA」に相当するつみたて投資枠と「一般NISA」に相当する成長投資枠の2つが併用できるようになりました。
以前は併用できず、気にする必要のなかった点、つみたて投資枠と成長投資枠の2つを、金融機関を分けて利用できないことに注意しましょう。
新NISAのつみたて投資枠を始めるならSBI証券がおすすめ

新NISAのつみたて投資枠を始めるならSBI証券がおすすめです。
SBI証券は業界No.1の口座開設数を誇り、手数料の安さも業界トップクラスを誇っています。
また、IPOや外国株式、投資信託などの取扱商品が豊富で、夜間取引も可能です。1株単位での売買ができるため、初心者でも購入しやすいのが特徴といえます。
さまざまなポイントが貯まり、貯まったポイントは買い物や投資信託の購入に使えるのも魅力の一つです。
この機会にSBI証券で新NISAのつみたて投資枠で運用を始めましょう。
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